なくてもいいけどあると便利なアイテム。それが登山で使えるスマートウォッチです。
スマートウォッチなんて必要ない!ヤマレコ、YAMAPなどの登山地図アプリで充分だよ。
という声も聞こえてきそうですが……
一度使ってみるとその利便性、快適さに、もうスマートウォッチなしでの登山は考えられない!
となってしまったわたしもココにおります。
今回はご提供いただいた、Amazfit T-Rex2 (アマズフィット ティーレックスツー)のレビューです。
正直なところ、Garmin(ガーミン)やSUUNTO(スント)などメジャーなウォッチと比べると、大したことないんじゃ…なんて思っていたのです。(メーカーさんすみません)
けれどメジャーブランドよりも、むしろこっちの方がいいぞ…!と感じるポイントも多数あり……
現在はSUUNTOのモデルからAmazfitに乗り換えています。
どういうところがよかったの?T-Rex2のいいところ、気になったところ含めてご紹介していきます。
そもそもAmazfit(アマズフィット)というブランドについて軽く紹介。
Amazfit(アマズフィット)は、Zepp Health Corporationが、2015年9月から展開しているスマートウェアラブルデバイスの独自ブランドです。
Amazfit
Zepp Health Corporation…2013年より中国で創業されたウェアラブルデバイスのメーカー。2018年にニューヨーク証券取引所で上場。これまでに2億台以上の製品を世界で出荷した実績あり。
お話しいただくまで、僕もブランドについてまったく知りません(笑)でしたが、ここ最近、登山雑誌やWEBメディアでもよく取り上げられているのを目にします。
ブランド製品は、オンラインストア、家電量販店など1,200以上の店舗で購入可能です。
徐々に販路を広げ注目を集める、じつはかなり”アツい”スマートデバイスブランドなんです。
今回紹介するT-Rex2(ティーレックスツー)は、Amazfitのスマートウォッチの中でも特に
”タフネスと高いバッテリー性能”
をもったアウトドアアクティビティに特化したスマートウォッチ。
そしてこのウォッチは、
GoodsPress AWARD 2022 PC・デジタル家電部門スマートウォッチ 大賞
2023年6月号 家電批評で登山初級者向けのウォッチとして、ベストバイ受賞
直近で複数の賞を受賞している噂のウォッチなんです。
Amazfitのウォッチで登山やトレランに使うならコレ。2022年の6月より販売が開始されている比較的新しいモデルです!
さっそく外観をみてほしいのですが、ぼくが大学生のときに気に入って使ってたG-SHOCKを彷彿とさせるガッチリとしたボディ。
ウォッチの表面には、デジタルの液晶がついています。
メカニカルな感じが、カッコいい。アクティブマトリクス式有機EL(Active Matrics Organic Light Emitting Diode)、AMOLEDを採用していて、液晶がめっちゃ見やすいです。
液晶はタッチパネル方式で、スマホを使う感覚でスワイプできます。
タッチパネルの反応はとても良くて、操作性は良好。
パネルの反応が悪いと、運動中はストレスを感じるのでココ、大事なポイントです。
この点、ぼくの持っているいるSUUNTO9 Baroより優れています。
しなやかなシリコンバンド。
固めのゴムバンドを搭載したウォッチもありますが、こちらはとても柔らかくて非常に使いやすいです。
バンドを止めるところは2箇所。手首の細い僕でもしっかりフィット感を感じられ、固定力があります。
メインのボタンは4つあります。
- SEL…アクティビティログ一覧へ
- BACK…戻るボタン、アプリ一覧へ
- DOWN…お天気やワークアウトステータス、睡眠時の質を確認(カスタマイズ可能)
- UP…メニューへ、自分好みにカスタマイズ可能
このウォッチはどんなアウトドアアクティビティでも通用するほどタフネス。
MIL(ミル)規格に対応しています。
MIL(ミル)規格…アメリカの国防省が定めた品質基準。米軍が必要とする物資の調達に使われる規格、基準のこと。
よくわからないけど、とても頑丈なことはわかった。
普通に使用していて壊れることはまずなさそうだという、圧倒的な安心感があります。
非常に多機能なので、登山者が使いやすい機能やトレイルランナーがよく使うであろうと思われる機能にフォーカスしました。
- GPSの精度
- バッテリー持ち
- ログ機能
- ナビゲーション機能
- トレーニング負荷、効果の確認
以前使っていたSUUNTO9 Baroと同等のGPS精度の高さです。
5つの衛星から電波を拾っていて、デュアルバンドで測位可能。
シングルバンドよりもGPS精度が高いのがデュアルバンド。バッテリー消費を抑えたいときはシングルバンドで記録したり、設定で使用する衛星を変更できたりできます。
- 精度重視
- バランス型
- 省電力
- カスタム(自分で使用する衛星を決められる)
デフォルトでは精度重視のモード設定。必要に応じて切り替えて使用します。
バッテリー持ち、イイです。連続GPS稼働時間は58時間で、普通に使っていれば最大で45日間バッテリーが持ちます。
一般的な登山だと8時間〜長くても10時間程度が行動時間になるケースが多い。
それを考えると、連続で58時間稼働してくれるというのは充分すぎるバッテリー持ちのように聞こえます。
ただ25時間程度の工程を2日に分けてログをとると、
「少し充電が必要かな…」
と感じるケースもあったので、使用時の環境やGPS設定にもよるかも。
その一方で、充電のスピードはめっちゃ早いです。
なので宿泊を伴う山行中、緊急時の充電もスピーディーで、非常に好印象でした。
山行中に気がついたらバッテリーがなくなってるなんてことはありがち……。だから充電のスピードが早いのは、ズボラな僕にとってうれしいポイントです。
テント場から立つ前のほんの少しの充電時間で、その日中のバッテリーはこと足りてしまいます。
基本的なログ機能は、他のスマートウォッチと同じで、記録をとった後に活動時間やルート、心拍データなどが見られます。
150のアクティビティに対応しているものの、登山やトレイルランニングで使用するのは下記のモードがメインです。
ランニング(屋外)
クライミング(登山)
ハイキング
ログ開始ボタンを押すと、ウォッチがGPSで現在地を把握したあと、記録が開始されます。
記録中に画面上で確認できる要素は、
- 運動時間
- 距離やペース、心拍数
- 消費カロリー
- 標高
- 上昇高度、下降高度etc….
など、モードによりデフォルトで違いはありますが、自由にカスタマイズできます。
設定項目も複数あるので、好みにアレンジできて◎
自分の場合はランニングでも『獲得標高』が見たいので、カスタマイズして見られるようにしています。
ナビゲーション機能は、下記の項目が使えます。
- リアルタイムトラッキング
- ダイレクトリターンナビゲーション
- ルートインポート
- リアルタイムルートナビゲーション
- ルートリターンナビゲーション
色々ありますが、最もよく使用するのは「ルートインポート」と「リアルタイムルートナビゲーション」です。
ヤマレコやYAMAPなどの地図アプリからGPXデータをダウンロードをインポート。(今作から実装された機能)
そして、そのインポートデータもとに、ルートナビゲーションしてくれる機能ですね。
ルートを外れるとバイブで知らせてくれるので、登山で最も多い事故、”道迷い”を未然に防げます。
GPXデータのインポート方法はとても簡単。
得たいGPXデータをダウンロードして、専用アプリ(ZEPP)に送るだけです。
トレイルランニングをやっていると、自分の疲労度を把握し、トレーニングのスケジュールを調整したいものです。
T-Rex2のトレーニングの負荷は、EPOC(運動後過剰酸素消費量)という数値で表され、
「低・中程度・高」
の3つで評価されまます。
専用アプリ(ZEPP)でもウォッチ上でも見られます。もちろん、VO2max(最大強度の運動中に体が消費する酸素量)や完全回復時間なども確認可能です。
自分の疲労度から、トレーニングスケジュールを調整できるのが便利。特に完全回復時間は実施したトレーニング日からどれぐらいの回復時間が必要なのか、目安になります。
スマートウォッチとスマホの専用アプリ(Zepp)を連携できます。
アプリの方では、現在の運動状態や、各種ウォッチの設定も可能です。
もちろんウォッチ上でも現在の運動状態を確認することはできますが、画面が小さいので少し見づらい。そんなときは専用アプリで自身の運動状態を確認するのがおすすめです。
個人的によく使う便利機能を紹介します。
- コンパス機能
- 天気・気圧高度計
- 睡眠モニタリング機能
コンパス機能は備わっています。コンパスを開くと、気圧と標高も表示されているので一緒にチェックできます。
基本はプレートコンパスを使っていますが、万一使えなくなったり、紛失した場合は使えますね。
現在の天気を瞬時に確認できます。下にスクロールすると週間天気も見られます。
気圧の推移と高度(標高)の推移も確認できます。
標高は手動で合わせることもできますし、”運動の開始時に調整”としておけば自動で標高を合わせてくれます。
毎日の睡眠の質を取得できます。ウォッチでも見られますが、アプリの方が見やすいです。
体力回復や次の日のパフォーマンスに影響するので、毎日チェックして睡眠の質を向上させる努力をしています。
スペック表です。(※横スクロールできます)
カラー | アストロ ブラック&ゴールド、エンバー ブラック、ワイルド グリーン、デザートカーキ |
サイズ | 47.1 x 47.1 x 13.65 mm |
重量 | 66.5g(ストラップあり) |
ボディ素材 | ポリマー合金 |
ボタン | 4個 |
バンド素材 | シリコン |
バンド幅 | 22mm |
バンド長さ | 140mm~205mm |
防水グレード | 10 ATM |
ディスプレイ素材 | AMOLED |
タッチスクリーン | ガラス素材 |
ディスプレイサイズ | 1.39インチ |
解像度 | 454×454 |
バッテリー容量 | 500 mAh(標準値) |
充電方法 | マグネット式充電 |
充電時間 | 約2時間 |
センサー | BioTracker™ 3.0 PPG バイオメトリック センサー (血中酸素、6PDDに対応 )、加速度センサー、ジャイロスコープ センサー、地磁気センサー、環境光センサー、気圧高度計 |
接続 | Bluetooth 5.0 BLE |
ポジショニング | デュアルバンドと5種類の衛星測位 (GPS、GLONASS、Galileo、BDS、QZSS) |
モーター | リニア モーター |
セット内容 | スマートウォッチ (純正ストラップを含む)、磁気式充電器、操作マニュアル |
アプリ | Zeppアプリ ※タブレットは未対応 |
対応デバイス | Android 7.0 以上、iOS 12.0 以上 |
充電時間は2時間とあるけど、体感ではもう少し早い気がします!
いいところ
- バッテリー持ちがいい
- わかりやすい操作性/カスタマイズ性
- 使いやすいシリコンバンド
気になるところ
- 登山地図が表示できない
- トレーニング効果の詳細確認がイマイチ
- ややウォッチの厚みがある
まず、バッテリー性能が高い点は非常にいいです。
日々のラン、登山(週1回)でも使ってもGPS機能を使う頻度によるものの、10日ほど持つ印象があります。
そしてウォッチの操作はとても簡単で、カスタマイズ性が高いです。
この手のスマートウォッチは、使い方がわからず、初見では苦労することもあります。ですが、T-Rex2は比較的わかりやすい操作なのがありがたかった。
直感で操作できるので、特に説明書をじっくり読む必要はなかったというのがホンネ。
個人的にうれしかったのがログ画面のカスタマイズ機能。
トレラン、登山では自分の現在のペースや距離、獲得標高をみたいときにすぐに見たい!
ただモードによってはデフォルトで設定されていないものもあるんです……。
自分好みにログの画面をアレンジできるのは、ナイスです。
あとこのシリコンバンドも。雪山では厚手のグローブをつけていて干渉して邪魔になるため、ウォッチを外していることも多いです。
マジックテープ式のバンドだと外れそうなのが心配ですが、絶対に外れない安心感がこのシリコンバンドにはある。
SUUNTO9 Baroのバンドは万が一があって外れそうなのが、心配だったんですよね。
- 地形図の読める山岳地図が表示されない
- トレーニング効果の詳細確認がイマイチ
- ややウォッチに厚みがあるところ
ちょっと気になるところもいくつか。
残念ながらログをとっている最中も、ログを取り終わったあとも登山地図(地形図)が表示されません。
これが本当に唯一と言ってもいい残念なところ。ヤマレコやYAMAPとの連携も、独自OSを使っているからか難しいようです……。
自分は地形を読む必要がある場合、
で確認することが多く、ウォッチで現在地を把握することはまずないです。なので全然問題ナシ。
ですが、登山者の中にはウォッチとルートを連携させて、現在地を把握するという方も多いと思います。
そういった方にとってはやや不便を感じるポイントかなと。
GPSでルートを連携すると、ルートを線でしが確認できません。
「正しいルートなのか、そうでないかはわかる」
といった感じ。(ルートから外れるとアラーム鳴るよ)
だから、なんでもかんでもウォッチ上で完結させたい方にはやや不満を感じるかも。
あと欲を言えば、もう少しトレーニング効果を確認する画面が充実していればな……という印象です。
SUUNTOのアプリはこの辺りが秀逸で、より細かいトレーニング効果を確認でき、現在のトレーニング状況を把握しやすいです。
なのでトレイルランナーガチ勢は、やや物足りなさを感じるかな。
SUUNTOはアプリでみんなが歩いているところや、走っているところを探せる機能があり、この点は良かった。
ただなくてもいいっちゃいいかも。
実際、登山アプリや山と高原地図から行きたいルートを探す人が多いからね。
強いてもう一点気になるところを上げるなら、ウォッチがゴツくて厚みがあるところ。
バッテリー問題もあるので、もう少し薄くなれば本当にいいです。
ただ形状 <<<<< バッテリーの持ちが優先なので、ここはトレードオフで割り切れます。
- コンスタントな運動習慣を身につけたい
- コスパよく登山で使えるスマートウォッチがほしい
- はじめてのスマートウォッチに & サブ機としてひとつ持っておく
150種以上のアクティビティのログに対応しているので、運動習慣をつけたい方にはぴったりなウォッチです。
そして値段も安い。以前は定価で43,780円でしたが値下げして、
公式サイトでは35,800円
Amazonでは32,200円
機能もりもりでこの価格。
同じMIL規格のタフなウォッチ、GarminのInstinctと比較しても4,000円程度安く購入できて、かつスペックはそれほど大差ありません。
T-Rex2の機能で十分すぎると感じる人も多いことと思います。
そして、
「はじめてのウォッチにT-Rex2 or ランナーのサブ機として持っておく」
という選択もあります。
もちろん、ウォッチはStravaやadidas Runningなどのアプリと連携対応。
なのでトレランガチ勢はStrava課金で、そちらでトレーニング管理すれば、トレーニングの詳細管理の問題はクリア。
メインで機能性に優れた高価なモデルを使っている人が、「サブ機でT-Rex2」という選択は大いにアリです。
T-Rex2はウォッチの中ではお値段もお手頃なので、非常におすすめできます。
操作が分かりやすいため、初めて登山ウォッチを購入する方にも◎。(ヤマレコやYAMAPをウォッチと連携したいしたい方は除いておすすめできる)
気になるところはあるものの、今の自分は気に入っているウォッチです。
今後、地形図の表示問題を解消してくれるモデルが出ることを期待しつつ、T-Rex2を存分に使い倒していきたいと思います。
登山でコスパよくスマートウォッチデビューをするなら、十分選択肢に入ってくるモデルですね。